承継執行文の付与
http://www.dragonmall.jp/gyousei/syomondai.htm
から引用
2.訴訟と相続 相続と裁判が関係してくるケースとして、ここではいくつか例示して説明していきます。

鄯 民事訴訟の途中で当事者が死亡した場合
  この場合、訴訟手続が中断され、係争中の権利義務を継承した相続人が訴訟の受継をしなければなりません。受継の手続としては、相続人から裁判所に対して訴訟手続受継の申し立てをします。当事者からの申立てがない場合にも、裁判所が職権調査によって誤りのない相続人を確定することができれば、続行命令を出すことがあります。

鄱 人事訴訟の途中で当事者が死亡した場合  人事訴訟とは、身分関係を取り扱う訴訟のことを言います。たとえば、離婚、離縁、認知などの訴訟のことを言います。
  このような訴訟の場合、原告の死亡により原則として訴訟は当然終了します。ただ例外として、夫が嫡出否認の訴えを提起した後に死亡したときは、その子のために相続権を害せられるべき者その他夫の3親等内の血族が訴訟を継承することができます。

鄴 強制執行について 

a 執行申立て前に債務者が死亡した場合 この場合、相続人は承継執行文の付与を受けることになります。複数の相続人が相続する場合、金銭債務などの分けることができる債務(可分債務)は、法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継することになり、相続分に応じた承継執行文が付与されます。

b 執行開始後に債権者が死亡した場合 この場合には、債権者の相続人は、承継執行文の付与を受けたうえ、執行の続行を求めることになります。c 執行開始後に債務者が死亡した場合  この場合には、そのまま執行を続行することができます。



(不動産担保権の実行の開始)
民執第百八十一条 目次 索引
不動産担保権の実行は、次に掲げる文書が提出されたときに限り、開始する。
  一  担保権の存在を証する確定判決若しくは家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)第十五条 の審判又はこれらと同一の効力を有するものの謄本
  二  担保権の存在を証する公証人が作成した公正証書の謄本
  三  担保権の登記(仮登記を除く。)のされている登記簿の謄本
  四  一般の先取特権にあつては、その存在を証する文書
 2  抵当証券の所持人が不動産担保権の実行の申立てをするには、抵当証券を提出しなければならない。
 3  担保権について承継があつた後不動産担保権の実行の申立てをする場合には、相続その他の一般承継にあつてはその承継を証する文書を、その他の承継にあつてはその承継を証する裁判の謄本その他の公文書を提出しなければならない。
 4  不動産担保権の実行の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、開始決定の送達に際し、不動産担保権の実行の申立てにおいて提出された前三項に規定する文書の目録及び第一項第四号に掲げる文書の写しを相手方に送付しなければならない。



■承継執行文

公正証書に基づく強制執行公正証書に表示されている当事者に対してなされるのが原則です。
しかし債務者側の承継人に対して公正証書に、また債権者の承継人は改めて公正証書を作成しないで既に作成されている公正証書に、執行文の付与を受けてこれに承継人の氏名を表示してこれを執行当事者とする事によって執行する事ができます。



2.執行文等の送達

 民事執行法27条の規定により、条件成就執行文(債務名義の記載が条件成就したときに強制執行できるとされている場合)または承継執行文(債務名義の当事者に相続等の承継があった場合など)が付与されたときは、執行文および債権者が同条の規定により提出した文書の謄本をあらかじめまたは同時に債務者に送達されていなければならない。
 従って、これらの執行文によって強制執行するときは、裁判所書記官あるいは執行証書については公証人にこれらの文書の送達を申立、送達完了後、送達証明書を取得する必要がある。