時効と相続

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荒っぽい方法ですが「相続取得」がわりの「時効取得」。
1997年8月4日 バードレポート第170号 
マスコミは時効寸前の殺人犯逮捕劇を連日報じています。



借入金の消滅時効

さて銀行借入についても時効があります。借入金の返済が滞ってから5年間で銀行借入金は時効で消滅します。しかしその間に一部返済・競売申立・差押等がなされると、時効は中断しその時から更に5年間になります。銀行側は時効にならぬよう厳しく管理しますから、そう簡単に時効になるはずもありません。
「全財産を売却してその分の借金だけを返済していただければ、当銀行は残額は請求しません。5年経てば時効でお客さんの借入金は消滅しますよ。」といった内容を、多額のバブル借金に悩む顧客の耳元でささやく銀行もあるようです。是非はともかくですが・・・・。
銀行は残額につき回収不能として会計・税務上で貸倒処理をするのでしょうし、確かに5年間請求がなければ、債務者は時効を主張できます。なお会計・税務上で貸倒処理されれば、債務が自然に消滅するということはありません。法律上は別で、そのままなら時効までは借入金は残っています。


不動産の取得時効

他人所有の土地であっても、自分が所有者だと思いながら、20年の間、平穏かつ公然にその土地を自分で占有していれば、その占有者がその所有権を時効により取得します。(不動産を占有するにあたり自分がその土地の所有者だと思い、そう思うことに無理のない事情があれば10年です。)
他人の財産を20年間自分のものとして占有していれば、時効取得で自分のものになってしまうのです。父親がずっと昔に亡くなり、相続人間で財産分けも行われずに、土地の名義は亡くなった父親のまま。長男は自分が相続したつもりでそこに住み続けている・・・よくあるケースです。この土地の登記上の名義が亡父のままでも、相続のために、現在の法律上の所有者は相続人全員です。単に財産分けが済んでいないだけの状況です。相続人全員で財産分けの合意ができ全員の印鑑が揃えば、この土地を長男へとの相続登記ができます。しかし、様々な事情から、合意と印鑑が揃うとは限りません。その時は長男の「時効取得」も可能かもしれません。他の相続人の財産を長期間占有しているのですから。


最高裁判決 昭47.9.8

共同相続人の1人が、単独に相続したものと信じて疑わず、相続開始とともに相続財産を現実に占有し、その管理・使用を専行し、その収益を独占し、公租公課も自分の名で負担・納付し、これについて他の相続人が何ら関心をもたず、異議を述べなかった場合には、相続開始のときから自分の所有の意思で占有していたとして、時効取得を認めています。


自分が所有者だと思って

時効取得には自分が所有者だと思って占有していることが必要です。自分に単独で相続権があったと思っていた、すでに贈与してもらったと信じていた等の事情が必要です。民法の原則は、占有さえしていれば所有の意思があると推定されることになっていますが、相続がからむとこの点に関しては厳しいようです。


荒っぽいけれど

随分と荒っぽい方法ですが、条件さえ整えば「時効取得」は、財産分け(分割協議)困難時の実質的財産相続法となります。ただし、税金には注意が必要です。財産分けによる相続での取得なら20年前の相続税です。たとえ相続税がかかるはずだったとしても、その相続税さえも時効です。ところが「時効取得」となれば、相続税の対象にはなりませんが、時効取得時に一時所得として所得税が課税されます。