http://blogs.yahoo.co.jp/je0593/9159620.htmlから引用

1.LLPの設立・運営の要件

①組合契約書の作成
LLPの組合員は、組織の基本事項を契約書に記載し、全員で署名又は記名・押印することが必要です。

②組合契約の登記
LLPは組合契約書の作成と、組合員の出資の払い込みの後に、LLP契約の登記をすることで、設立の
手続が完了します。

③開示義務
LLPには、「有限責任事業組合」という名称の表示義務があります。また、債権者保護の観点から、損
益計算書・貸借対照表等を作成して、債権者の求めに応じて開示する義務があります。

④共同事業要件
債権者保護の観点から、LLPの構成員は、事業上の意思決定と業務執行への参加が義務付けられていま
す。(ゆえに、LLP設立の依頼を受けた司法書士は、構成員が事業に参加するか必ず聴取する必要があ
ります。でないと、後々税務署に突っ込まれる要素になり得ます)



2.LLP設立の手続



LLPは、会社と比べて設立にかかる時間や費用が格段に安くて済みます。



以下は、平成17年7月29日付法務省民商第1713号通達に基づくものです。



(1)組合契約書の締結

組合契約を締結しようとする者は、組合契約書を作成し、全員が署名又は記名・押印することが必要で、かつ、組合契約書には次の事項を記載しなければいけません。

①組合の事業

「組合の事業」は以下に掲げる業務の制限に反しないことを必要とします。

(ア)その性質上、責任の限度を出資の価額とすることが適当でない業務として政令で定めるもの
 ・公認会計士法第2条第1項に規定する業務
 ・弁護士法第72条本文の規定により弁護士又は弁護士法人でない者が行うことができない業務
 ・司法書士法第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務
 ・土地家屋調査士法第3条第1号並びに同条第2号及び第3条に掲げる業務
 ・行政書士法第1条の2に規定する業務
 ・海事代理士法第1条に規定する業務
 ・税理士法第2条第1項に規定する業務
 ・社会保険労務士法第2条第1項第1号から第2号までに掲げる業務
 ・弁理士法第75条の規定により弁理士又は特許業務法人でない者が行うことができない業務

(イ)組合の債権者に不当な損害を与えるおそれがある業務として施行令第2条に規定された次に掲げる業務
 ・当せん金付証票法第2条第1項に規定する当せん金付証票の購入
 ・競馬法第5条第1項及び第2項の勝馬投票券の購入
 ・自転車競技法第7条の車券の購入
 ・小型自転車競走法第10条の勝車投票券の購入
 ・モーターボート競走法第8条の勝舟投票券の購入
 ・スポーツ振興投票の実施等に関する法律第8条第1項及び第2項のスポーツ振興投票券の購入

★要は、各士業の専門業務や公営ギャンブルは業務とすることはできないということです。

②組合の名称

組合には、その名称中に「有限責任事業組合」という文字の表示義務があります。また、その名称の登記は、同市区町村内においては、同一の事業のため、他人が登記したものと判然区別することができないときは、することができません。

③組合の事務所の所在地

④組合員の氏名又は名称及び住所

⑤組合契約の効力が発生する年月日

⑥組合の存続期間

★長期又は短期の制限はありません

⑦組合員の出資の目的及びその価額

組合員は、金銭その他の財産のみをもって出資の目的とすることができます。

民法組合と違い、労務出資は認められません

⑧組合の事業年度

組合の事業年度の期間は、1年を超えることができません。

パススルー課税のため、暦年課税の所得税との絡みで設けられたものです。



(2)組合契約の登記

組合契約が効力を生じたときは、主たる事務所の所在地においては2週間以内に、従たる事務所の所在地においては3週間以内に、以下の事項を登記しないといけません。

①組合の事業
②組合の名称
③組合員の氏名又は名称及び住所
④組合契約の効力が発生する年月日
⑤組合の存続期間
⑥組合の事務所の所在場所
⑦組合員が法人であるときは、当該組合員の職務を行うべき者の氏名及び住所
⑧組合契約書において法定解散事由以外の解散事由を定めたときはその事由

(ア)登記の申請人

 登記所に印鑑を届け出た組合員の申請によります。

(イ)添付書面

主たる事務所の所在地においてする組合契約の効力発生の登記の申請書には、以下の添付書面が必要です。

・組合契約書
・各組合員の出資に係る払込み及び給付があったことを証する書面
 
★具体的には、金融機関が発行する出資払込金受入証明書、取引明細表、預金通帳の写しなどです。

・組合契約書に押印した組合員の印鑑についての市区町村長発行の印鑑証明書

・組合員が法人であるときには、当該法人の登記事項証明書、組合契約書の当該法人の代表者印についての登記所発行の印鑑証明書、当該組合員の職務を行うべき者の選任に関する書面、当該組合員の職務を行うべき者の就任承諾書、当該組合員の職務を行うべき者が就任承諾書に押印した印鑑についての市区町村長発行の印鑑証明書

・委任状

(ウ)登録免許税

6万円(主たる事務所の所在地においてする場合)

(3)印鑑の届出

登記の申請書に押印すべき者は、予めその印鑑を登記所に提出しなければいけません。届出事項は以下のとおりです。

①組合の名称
②組合の主たる事務所
③資格
④氏名
⑤生年月日