http://www.tctv.ne.jp/members/hirao/huha.htm
から引用
株券不発行制度とは、対上場会社の株式移転の能率化と非上場会社の株券発行遅滞責任の解除の2個の問題を射程に入れています。そこで、この二つの全く異なる次元の問題をほどかな
れば、誤解と混乱を生じます。


1. 上場会社の場合 5年後に一斉に株券が廃止され、株の取引に伴う株式の移転は、証券会社などが管理する振替口座簿への記録により行 われるようになり、所有株数は証券口座の残高で示されるようになります。

 このデジタル化の時代に、紙を使うのは時代遅れで、世界標準に合致していません。東京市場をビッグバンによって国際化せねば日本経済が負けてしまいます。


2.非上場会社の場合 
 商法第226条 会社ハ成立後又ハ新株ノ払込期日以後遅滞ナク株券ヲ発行スルコトヲ要ス
と規定しています。でも、株券の発行を必要としない会社が大多数です。その大多数の会社は、株券を発行しないことにより、違法状態でした。何も悪いことをしているわけではないのに、法律違反を犯しているという状態でした。これって、法律の方がおかしいのです。

 そこで、改正商法では、本条に但し書きを加え、「但シ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テ(つまり普通の譲渡制限会社です。)株主ヨリ株券発行ノ請求ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ」 と規定しました。また、「株券不所持制度中の株券不発行制度」を利用すれば、違法状態は解消されます。このような会社を、「準株券廃止会社」といいます。

 でも、これって、「株主より株券発行請求が無いことが前提です。株主中の一人が発行請求をすれば、株券を発行せざるをえません。」そんな、結論はおかしい。たった一人の株主が嫌がらせで、株券発行を請求してくれば、会社としては株券を発行せざるをえません。そんな事を防止するために、株券不発行制度ができました。定款でその旨決めてかつ株券不発行の登記をしすれば、よろしいのです。株券不発行の登記さえしておけば、変な株主から、株券発行請求がされても、会社としては応じる必要がありません。

 株券不発行制度の導入は手続が面倒ですし、お金もかかります。(登録免許税は3万円です。、3万円かけるなら、弊社の株券印刷を利用された方が安上がりな場合も多いことでしょう。)

 ここで、困ったことがおきました。株券不発行の登記をしなくとも、

「株式の移転には株券の専有の移転は不要で、株主名簿上での名義書換で万事OK」との

誤解が生じています。

 これは、誤解です。株券不発行の登記をすればそうなりますが、登記をせねば、株式の移転には、株券の譲渡が必要です。つまり、株券を印刷して専有を移転することが必要不可欠です。
商法第205条は厳然として生きております。

第二百五条  株式ヲ譲渡スニハ株券ヲ交付スルコトヲ要ス

 株券不発行の登記をしていない会社では、株式譲渡がおきたなら、株券を印刷せねばなりません。(「株主名簿の名義書換だけすれば良い。」というわけではありません。
 だいたい、株式譲受人としては、きちんとした株券をもらう方が安心感があります。