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賃金未払い、給料未払い

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■賃金未払いは違法行為です。

会社を退職したが、給料を払ってくれない。あるいは、会社の業績が思わしくなく給料が遅れがちになるということがよくあります。 また、何十時間も残業しているのに残業手当の全部又は一部しか支給されないことも少なくありません。しかし、これは明らかに違法行為です。断固として支払を請求しましょう。

労働基準法第11条では、賃金について次のように規定されています。
「賃金とは、賃金、給料、手当て、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」

また、第24条では賃金の支払について5つの原則を定めています。これを賃金支払の5原則といいます。

  賃金支払の原則

  1 通貨払の原則
    賃金は、通貨(貨幣)で支払わなければなりません。
   (例外)法令に別段の定めがある場合、または労働協約に別段の定めがある場合には、現物
   給付すなわち商品などの品物で支払うことができます。

  2 直接払の原則
    賃金は、労働者本人に直接支払わなければなりません。
   (例外)使者に対しては支払うことができます。

  3 全額払の原則
    賃金は、その全額を支払わなければなりません。
    (例外)法令に別段の定めのあるもの(税金や社会保険料等)を控除することは認められて
    います。
    また、労使協定がある場合には、組合費、購買代金、社宅費、社内預金等を控除して支払
    うことができます。

  4 毎月一回以上払の原則
    賃金は、少なくとも毎月1回支払わなければなりません。
    (例外)臨時に支払われる賃金、賞与、その他これらに順ずるもの
 

  5 一定期日支払の原則
    賃金は、一定の期日を定めて支払わなければなりません。
   (例外はありません)

使用者がこれらの規定に違反した場合は罰則が科せられます。

したがって、会社の都合で勝手に賃金や手当をカットしたり、支払を遅らせることはできません。

賃金のカットをするためには就業規則に減給の定めが必要です。(もちろん、合理的な理由が必要です)
そうでない場合でも判例は、就業規則を変更する場合でも、労働者と十分に協議し、労働者が蒙る不利益の程度を考慮しても尚合理性のある理由であることが必要であるとされたいます。

■賃金未払いへの対処法

まず、直接会社に支払うよう請求しましょう。不景気で仕事が減って資金繰りが厳しいというだけでは合理的な理由にはなりません。

会社が話し合いに応じてくれなかったり、「無い袖は振れない」と居直ったりするようであれば、自分で未払い分の給料を計算して必ず内容証明で請求しましょう。 行政書士の名前や職印があるとより効果的です。

それでも、支払われない場合は、労働基準監督署に申告します。ただし、何も証拠が無くては受け付けてくれませんから給与明細、タイムカードのコピー、労働契約の際の書類、就業規則内容証明の控えなど関係があると思われるものはすべて持参します。また、会社との交渉の経緯もまとめておくといいでしょう。

最後の手段は法的措置ということになります。

支払督促や小額訴訟などを提起します。付加金についてはこちらを参考にしてください。

給料の請求権の時効は2年間(退職金の時効は5年間)です。2年が経過する前に内容証明を送れば時効は中断しますが、半年以内に裁判などの法的措置を取らなければなりません。

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給料、賃金の未払いに関する相談や内容証明の作成依頼はこちらへどうぞ

 

■退職金の未払い

退職金は、通常の賃金とは異なり、その支給を法律で義務付けているわけではありません。ただし、会社の就業規則や退職金規定で支給条件等が定めてある場合は支払うことを法律的に義務付けられます。また、規定が無い場合でも退職金を支払う慣行がある場合や使用者が支払うと言えば請求することが出来ます。

※ まったく支払われない場合
いくら退職金をもらえるのかわからないときは、就業規則や退職金規定によって計算して請求金額を決めます。
すでに退職していて就業規則や退職金規定の閲覧を使用者に拒否された場合は、同じ会社を退職した人にたずねる等しておよその金額を算定します。
退職金の額を算定できたらまず、自分で算定した額を使用者に提示して口頭で請求してみます。2〜3回請求しても応じない場合は内容証明で請求します。

内容証明を出しても効果が無い場合は、労働基準法違反(賃金未払い)になるので労働基準監督署に申告します。

※ 退職金を減額された場合
減額の理由を聞き、納得がいかなければすぐに同意できないことを内容証明郵便で通知します。
退職金を減額されてもすぐに不同意の意思表示をしなければ追認したとみなされます。

そのうえで、各地の労政事務所、労働総合事務所、労働組合などに相談して交渉してもらうことも出来ます。

未支給、あるいは減額の場合でも、最後は裁判所で調停、あるいは裁判で決着をつけることになります。
   

■会社が倒産して給料が支払われない場合

また、下記の斡旋制度の利用も検討してみてください。
その際、労働時間、労働日数、請求金額を明確にする必要があります。
ですから、証拠として、給与明細やタイムカード等をコピーするなどして残しておきましょう。

※未払い賃金の立替払い制度
会社が倒産して賃金や退職金を受け取れなかった労働者のために未払い賃金の立替払い制度があります。
これは、労災保険に加入して一年以上事業活動を行ってきた会社・個人に使用されていた労働者が倒産等で退職したがまだ賃金の全部又は一部を受け取っていないとき労働福祉事業団が未払い賃金の一部(未払い賃金の総額の100分の80、上限あり)を立替払いしてくれる制度です。詳しくはこちらのサイトをご覧下さい。 

 http://www.kana-rou.go.jp/users/kijyun/chinkaku.htm